アクターは、与えるシナリオデータのとおりに動きます。DiD Risk Monitorでは、このアクターのシナリオや手順のデータを、状態遷移図という図の形で入力してゆきます。
状態遷移図は、対象(例えば、人でも機械でも)の振る舞いを図で表現するもので、下図のように、四角形で表現される状態と、その状態の間の変化を遷移線という矢印で表現します。その状態の変化をもたらすきっかけをイベントとして、遷移線に沿って文字で書いてゆきます。
この図では、水の状態の変化を表現しています。水は普段は液体の状態ですが、100度以上になると水蒸気という気体の状態に変化します。逆に、100度を下回ると、気体から液体に変化します。同じように、0度を下回ると氷という固体の状態に変化します。逆に、0度を上回ると、氷が溶けて液体に戻ります。
このように、水には3つの状態があり、それぞれの状態が、温度の変化(ここでは「100度を超える」や「0度を下回る」)をイベントとして、それぞれの状態の変化が起こります。
この状態遷移図は、対象(ここでは水)の振る舞いを3つの状態と状態遷移線、イベントで表現しています。
それでは、手順やシナリオを状態遷移図で表現する場合について考えてみます。
普通、手順やシナリオは、Aをやって、それが終われば次にBをやって、Bが終われば最後にCをやって終了というように、実施する行為(ここではAやBやC)と、それを実施する前提条件(例えば、BはAが終わってからやる、CはBが終わってからやる等)があります。
DiD Risk Monitorでは、この行為を状態として捉え、その行為を行っている状態として考えます。そして、その行為が終わったら、その行為が終了したイベントが発生し、次の行為を行う状態になると考えます。
具体的には、手順は次のような状態遷移図となります。
個々の状態には、やるべき行為を設定します。DiD Risk Monitorには、様々な行為に対応した部品が用意されており、それを状態の枠に配置することで状態の設定ができます。(下図では、各状態に、1つずつの行為を表す部品が配置されています。)
次に、各状態を左から右に、順番に実行する順番に遷移線を書いてゆきます。そして、遷移が起こる前提条件として各部品の行為の結果(成功ならOK,失敗ならNG)をイベントとして設定します。
単純にA,B,Cと順番に作業をするような手順であれば、この図のように左から右に至る一本の状態遷移で表現されます。
DiD Risk Monitorは、予め必要な行為の部品群を提供して、これを並べるだけで手順を簡単に入力することができます。さらに、イベントの設定は、エディタ上で選択するだけで設定できることや、不適切な設定はエラーや警告を出して通知してくれる機能等の様々な支援機能をつかって効率よくデータ作成ができます。